- ナノ -


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 溶けちゃうくらい暑い日の、涼しくていい風の吹く夜って、すてきよね。竜に寄りかかりながら彼女が言った。なんだかね、今日もがんばったね、って風が言ってくれてる気がするの。
 竜は頷き、ではわたしからも、と翼を開いた。そしてそっと上下させ、彼女に風を届ける。思いがけない贈り物に、彼女はありがとう、と顔を綻ばせた。


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