- ナノ -


836

 やっぱりこれだよ、と言って彼は、竜の尾を胸に抱く。これがいちばん、落ち着いて眠れる。竜はやや呆れたように彼の方を見遣った。わたしのほうは、眠っている時にうっかり尾を振って君を傷つけないかと気が気じゃないのだが。
 そのときはそのときだよ、と彼は尾にぴたりと頬を寄せる。その顔が何とも安らかで、竜はやれやれという表情をしつつも、されるがままになっていた。


[