- ナノ -


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 森の上を飛んでいるときに、少し開けた場所を覆う一面の茸が見えた。しかし次の日に同じ場所を通ると、すでに影も形もなかった。あの量の茸を食べた者、採った者がいるのだろうか、と竜は訝しんで言う。話を聞いていた森の竜がくすりと笑った。それは一夜で傘が溶ける種類の茸だよ。降り立ってみたら、柄が残ってるのがわかったと思うよ。まだまだ知らないことがあるものだ、と竜は唸った。


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