- ナノ -


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 人々に混じって、二本の足で立つ竜が港に到着した船から荷下ろしの作業を進めている。ああいう竜もいるんだね、と彼。連れ合いの竜は頷き、飛ぶのは苦手だが、手が自由に使えて力持ちの者が多い、と言った。
 みるみる間に荷物は船から出され、運ばれてゆく。輝きが強くなり始めた太陽の日を浴びて、人も竜もどこか清々しい表情をしていた。


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