- ナノ -
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風が吹くとき、と竜は言った。どこかでわたしも、その風を受けて飛んでいる。だから泣くな。
この世界のどこにいても繋がっている、と竜は言いたいのだ。不器用な励ましに、しかし人間は、微笑んだ。竜らしいと。服の袖でぐいと涙を拭った。大きく頷いて。
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