- ナノ -


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 川面に、水色の竜がぴたりと座っている。まるでそこが地面であるとでも言うように。ついまじまじと見つめてしまう竜へ、水色の竜は笑い掛けた。
 僕たちには普通のことなんだけどさ。よく驚かれるよ。そう言うと、今度は兎のように川面を飛び跳ねた。一緒に川面に浮かべそうな気がして、竜は川に足先をつけ──当然沈む足を、素早く引っ込めた。


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