- ナノ -


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 向かいから飛竜がやってきたので、竜とその背の上の人間は挨拶をした。しかし、飛竜はそのまま、すっ、と竜たちの横を通り過ぎていった。不思議そうな表情を浮かべた人間に竜は言う。あれは眠っているんだ。人間は目をまんまるにして問うた。眠りながら飛べる竜ってこと? 竜が頷いたのを見て、生命の神秘だ、と、人間は飛竜の姿が見えなくなるまで目で追っていた。


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