- ナノ -


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 麗らかな日の光が降りそそぐ昼。向こうからやってきた少女が、木陰で丸くなっていた竜に尋ねた。弟を見なかった? 遊びに行くって言ってたんだけど。竜はゆっくりと振り返った。少女も竜の眼差しを追う。竜の尻尾に背を預けて、人の子がすやすやと眠っていた。遊び疲れたようだ、と竜は微笑んだ。


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