- ナノ -
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旅が終わる日をさ、と彼は言った。知ってた方が幸せなのかな。知らない方が幸せなのかな。
竜は目を細めた。その視線の先で、渡り鳥の群れが飛んでゆく。迷うことを知らないように、まっすぐと。知っていても、知らなくても、今を生きるだけだよ、と竜はこたえた。
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