- ナノ -


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 俺の話を? 男は驚いて竜の顔を見た。竜はゆっくりと頷き、言う。今度は君の話を聞かせてほしい。
 平凡だよ、とペンで頭を掻きながら彼。仕事してさ、食って、寝て。ちょっと気になる人がいたりして。竜がすっと目を細めた。そういった話だ。ぜひ聞きたい。男は、おもしろいかなあ、と言いつつも、つられて笑いながら彼自身のことを話し始めた。
 木漏れ日がきらきら、男と竜に降りそそぐ。


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