- ナノ -


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 たんぽぽの花びらをそっと一枚、取ってみるとね、もう綿毛が付いているの。飛び立つ準備はしっかりできていて……それは、小さな頃のドラゴンさんと似てるって思うんだ。
 彼女の言葉に竜は、人もそうだと返す。そう? と首を傾げる彼女。竜は頷き、言う。いつか前に進むための力は誰しも、幼い時分から秘めているものだ、と。


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