- ナノ -


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 喉を潤そうとして、竜は川の水面に映った自分の姿にびっくりした。顔の近くの鱗が幾つか、うっすらとピンク色に染まっている。そういえば先ほど、人の子と遊んでいたときに、鱗に何かを押し付けられたような……。
 白粉花か、と竜は呟く。花を潰して擦り付けると、つるつるした面にも色が乗るのだ。やられた、と笑いながらも、しばらくそのままにしておいた。
 

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