- ナノ -


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 丁寧に編み込まれた籠の中に、小型の竜が丸まっている。その亜麻色の毛は艶やかで、なおかつふんわりと柔らかだ。やや気怠い感じで視線を上げる様子も、実に優美であった。
 随分と可愛がられているようだな、と竜は亜麻色の小竜に言った。あら、人に可愛がられることこそ私の仕事ですもの。小竜はしとやかに、それでいてしたたかに、にっこりと微笑んだ。


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