- ナノ -



かぜのはなし
2017/02/23 01:45

こんばんは。
本日はたいへん風の強いいちにちでした。
数日前にも風の強い日はあったのですが、今日は風とともに雨も強かったので、まるでちょっとした台風がやってきたかのようでした。
あまりの雨風に、「ええい、ままよ!」と、さしていたかさをたたんで堂々と雨にぬれながら家路をたどったしだいです。
かえってなんだか爽快なこの心もち。ちょっとたのしい。
いま暮らしているこの街は、実家のある街よりも、春先の風がいちだんと強く吹く感じがします。
ここへ暮らすようになってから毎年1本は、風の強いこの時期にかさを折ってしまっていたり。
すっかり身になじみつつある、「かさが折れたら春来る」という「風のたより」が、今年も届きつつあります。
風の強いのはたいへんですが、春が近いなあ、と身に染みて感じて、どことなくうきうきした気持ちにもなります。


まだ大学生だったころ、私は実家から電車と自転車で通学していたのですが、
大学付近の橋のうえが、風の吹く日はとんでもなく強く風が吹きつける場所のひとつでした。
ある風の強い日、その橋を自転車で走りぬけながら、ふと思いました。

「……向かい風もたしかに走りにくい。でもこれ……追い風のほうが、かえってずっと走りづらい……な」

追い風といえば、「進みやすい」、「背中を押してくれる」、「順調」といった、よいイメージがありますよね。
たしかに、追い風は背中を押してくれるこころ強い味方で、ぐんぐんと前に進むちからをくれるものでもあると思います。
ただ、実際に自転車に乗って強い追い風を後ろから受けてみると、追い風の別の側面も見えてきます。
よく自転車にお乗りになるかたならご経験があるかもしれません。
車体が奇妙にゆらいで、安定感がなくなり、まっすぐ進みにくくなるのです。
さらに、追い風も追い風、まうしろから強く風を受けると、
自分で思った以上に、また、出そうと考えていた以上にスピードが出て、気を抜くとあっというまに風にさらわれて進んでしまうことにもなりかねません。
「こうしたい」という自分の思いとは関係なく進んでいってしまうという意味で、制御ができなくなること……それが、追い風の怖さかもしれません。
向かい風の場合は、まっすぐ風圧を受けることになるため、たしかにそのぶん進みづらくなります。
しかし、押し戻されそうになったり、その場に立ち止まらざるをえなくなったりはしても、「自分の意思とは関係なく進んでしまう」ということはありません。
そして容易に進めないぶん、自分の思うほうに進んでいこうとする気持ちは強く持てることもあるものです。


自動車会社フォード・モーターを創設した、ヘンリー・フォードの残した言葉に、このようなものがあるといいます。

"When everything seems to be going against you, remember that the airplane takes off against the wind, not with it."
あなたにとってすべてが向かい風に思われるとき、思い出してください。飛行機は追い風ではなく、向かい風によって飛びたつということを。

私も数年前に知ったのですが、飛行機というものは、実は追い風ではなく、向かい風を使って高く浮かびあがるちからを得るのものなのだそうです。
そう思うと、向かい風が吹いていることは、別の見方をすれば、高く飛ぶためのチャンスということもできるのかもしれません。
追い風が吹くときも、向かい風が吹くときも、常に注意しなければならないことがある。
それと同時に、追い風が吹くときも、向かい風が吹くときも、きっとなにかできることはあるものなのでしょう。
それをいつでも、忘れずにいたいものです。


それでは今回は、このあたりで。
おやすみなさい。


管理人 ひらい しん




文中のフォード氏の言葉は、英文を以下のサイトより引用し、日本語訳については、下記サイトの訳文を参考にしつつ、管理人が訳したものとなります。
http://phil-portal.com/english_meigen/



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