ハロー! マイ・プレゼント 1/2



"生徒会長の苗字名前はサッカー部の源田幸次郎と付き合っている"

そんな噂が学校中に広まった。よく考えれば大して重大な問題ではない。"付き合っていない"という事実が広まれば、消えてしまうような噂だ。

でも、俺は消したくなかった。

苗字さんは一年生の時に同じクラスで一目惚れした、俺の初恋の相手だ。噂の中だけでもいいから、付き合っていたいと思う事は誰にだってある感情だと俺は思っている。

だから消えて欲しくない。あわよくば、それが現実になればと時折思ったりもする。

そんな頃、俺の心情を知っている鬼道が俺にある話を持ち掛けてきた。

「明日、クリスマスの日に苗字に告白してはどうだろう」
「お、俺が……?」
「そうだ、お前に話しているのだから当たり前だろ」
「いや、俺は遠慮する。初恋は実らないって言うだろ?」

それがどうした、と鬼道は鼻で笑った。

「キーパーは受けてばかりではないぞ」

* * * * *

結局、俺は鬼道に遊ばれてしまっただけかもしれない。

サッカー部全員でパーティーをするために、鬼道が苗字さんから許可をもらっていた。夜遅くまで部室でパーティーをするのは流石に無理があって、"生徒会長"の監視の下、行われることになった。

きっとその案は天才ゲームメーカーが出したに違いなかった。

「何時までする気ですか?」
「二時間程度でしょう。まぁ、最後は源田に任せようと思っています」

そうして始まったサッカー部員(女性生徒会長含む)のパーティーは予定より一時間も過ぎていた。仲間達は俺をちらちらと見て、顎で苗字さんを指す。

"早く、伝えろ"

誰もがそう合図していた。
そして、今にも苗字さんがパーティーを終わらせようと立ち上がった時、それにつられて大声で彼女の名前を言った。

――やばい、初っ端から恥ずかしい。

「は、はい。何ですか?」
「あのですね、今日はクリスマスですし、サッカー部のパーティーの許可を下ろしてくれましたし……お、お礼がしたいと思って、プ、ププレゼントを持ってきました!」
「そんな大した事じゃないのに……ありがとうございます♪」

――あぁ、何故そんな優しい笑顔で応えてくれるんですか。

「あ、ちょっと待ってて下さい」
「はい、分かりました」

俺はすぐ後ろに居た鬼道の方を振り返って、再度確認をした。

「ほ、本当にするのか?」
「もちろんだ。ほら、彼女が待ってるぞ」

「えっと、苗字さん」
「はい、何ですか?」

俺の左手首にはピンクの蝶結びリボン。
……本当に俺は遊ばれてしまった。

「俺をもらってくれませんか?」


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