流れ星が降って、私は願い事をした。


海の側でボールを蹴る影があった。その影は私に気付いたらしく、ボールを蹴りながらこちらに近付いてきた。

膝を抱えて縮こまっている私の隣まで来て、ちょこんと座った。

「どうしたの? 泣いてたの?」
「…………」

ちらりと横目で見たけれど、とても優しそうな人だった。わざわざこうやって同じ目線で話しかけてくれる。そして私が何も話さなかったら返事を待つつもりなのだろう。

「今日は満月だね。やっぱり沖縄の空は綺麗」
「……お兄ちゃんは、地元の人じゃないんだね」

私が口を開けると、その人は笑顔で話し続けてくれた。

「僕は北海道から来たんだ。ちょっとした用事でね」
「……ふーん。遠い所からきたんだね」
「君は近くに住んでるのかな?」
「うん」

私は顔を膝に埋めて小さく「友達がいないんだ」と言ってみた。本当に、ただ息を何気なく吐く感じで言ったのに、その人は一語も見逃さずに聞き取っていた。

「……皆とお喋りして、嫌われたらどうしよって考えたら、怖くていつも一人で居るんだ」
「……君はもう克服してるんじゃないかな」
「なんで?」

「ほら、だって」

――僕らは友達でしょ。


空の欠片が海に落ちて
(願い事が叶いました)

2012/01/03


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