紫露草の花束



相互記念リクエスト


俺の彼女は、変わっている。

彼女の名前を聞いた時、帝国の生徒は皆同じ反応と口調で「ああ、あの気分屋」と言う。
・・・・・・巫山戯ている。
まぁ、そんな彼女に惚れた俺も巫山戯ているのかもしれないが。
いつも鼻につく甘い香り―――彼女がいつも舐めている飴の香り―――、俺がどれだけの時間彼女といたかの証明。
―――どうして俺は、彼女と付き合っているのだろう。
もしかすると、憧れからなのかもしれない。
つまり、この関係は羨望から成り立っている、下らない関係なのだろか。
俺は、少し俯いて溜息を吐く。
・・・・・・もしそうなら、俺は間違っている。

シャーペンすら入ってない鞄を抱いて、名前はずっと屋上で景色を眺めていた。
サッカー部の練習光景を見る。
ああ、良いなぁ。―――羨望の眼差しで。
ねぇ、有人さん。私、貴方に憧れてるのよ。
貴方ほど人望があればなんて、よく空想してます。
「名前、またここにいたのか」
「えぇ、貴方を探す為に」
有人さんの顔が赤くなる。その感情も羨ましいと言ったら、有人さんはどう思うのかな。
「羨ましいな」
は?素っ頓狂な声が漏れる。
「ズバズバと物を言えるのは、羨ましい」
「・・・・・・私は、貴方の事が羨ましいですが」
次は、有人さんから素っ頓狂な声が漏れた。
―――そして、笑い声。
「敬愛というのも、悪くはないな」
ああ、そういう事か。
私も笑った。
「そうですね」
初めて、有人さんの事を『羨ましい』と思わなかった。


紫露草の花束
(花言葉は、尊敬しています)

2011/02/02


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