ちゃらけた男の頭の中 24/41



圭様に捧げる相互リンク記念リクエスト

・第一期頃を目安に!
・夢主はファインダー

―――――――

静かな廊下に妙なリズムのスナップと震える口笛。

「――という不可思議な事件がドイツ北部の名も無い村で起こっています。コムイ室長の命により、この度、探索部隊一名を案内役、且つラビ様の護衛として村へ連れて行き、イノセンスによる奇怪かどうかという調査を行います。もしイノセンスを発見した場合は速やかに回収との事です」

やっと任務の内容を読みきった。
私が読んでいる間、然程上手くはない音を作るエクソシスト、ラビ様は自室付近の壁に凭れて私の説明を聞いていた。

「名前ちゃ〜ん♪ 終わった?」
「はい、終わりました。明日の午前六時丁度にラビ様の部屋にお迎えに上がりますので、身支度をしておいて下さい」
「分かったさ♪ で、任務の探索班一名は?」

何故ラビ様はいつもいつも、それを訊いてくるのだろう。班員の私がわざわざ挨拶に来ているのだから、分かりきっている事なのに。

「……私です」

そう言うと、ラビ様は「良かったさ♪」と安堵した声を出した。

「それで、名前ちゃんはいつまでそうするさ?」
「何がですか?」
「任務内容もすべて言い終わったのに……クリップボードの資料と向き合ってばかりで、顔が見えないさ」
「私はこうしてラビ様と会話をする方が楽しいですから」
「そんな事、言・わ・ず・に・さ」

そう言い終えた直後、ラビ様の手がボードの上を掴み、ふわりと資料が私の手から離れてしまう。薄暗い廊下にもかかわらず、ラビ様の翡翠色の瞳は輝いていた。

その澄んだ瞳が私の目をしっかりと捉えて、私は胸が苦しくなった。今にも心臓が口から飛び出そうで、私は思わず目を逸らした。

「どした? 顔が赤いけど……」
「な、何でもありません。資料を、返して下さい」
「本当に仕事熱心さ、名前ちゃんは。でもそういう所も可愛いさ♪」
「……冗談は止めて下さい」
「ん〜……」

ラビ様は顎に手を当て、一、二分ほど考えると私の資料を返す気もなく、こう言った。

「冗談じゃないさ。オレと名前ちゃんがこうして任務をするのも、オレがコムイに頼んでるからさ。オレは名前ちゃんが好きだし、この壁を壊したい」

『この壁』
その言葉で私とラビ様の間に分厚い壁が具現化したようだった。そして現れた壁を通り抜けて、ラビ様が近付いてきた。

手にしている私の資料を私の耳元に添えて、死角を作った。その中にラビ様の顔もすっぽり入り、私は何をされるのか不安になった。

「な、何を……?」
「本当はキスといきたい所なんだけど今日はお預けさ。代わりにコムイに伝言、伝えてくれるさ?」

ラビ様は言い終えると私に資料を返して、自室へ戻っていった。



―――――――

「名前ちゃんは『護衛』じゃないってさ♪」

2012/01/31


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