たいせつな日-end- 19/41



「そんな寂しい顔をしないでください」
 
窓が開いたかと思うとそこから誰かが入り込んで名前の背後に立った。
とても優しい声だった。名前は涙がこぼれそうになる。呼吸は荒くなり、心臓はバクバクいってはち切れそうだ。慌てて口元に両手を置いて、落ち着こうをするがなかなか呼吸は落ち着かない。


「行く前にも言いましたが、もう一度言っても良いですか?」
 
背後の人はゆっくりと名前に近づき、抱きしめた。



「誕生日、おめでとうございます」
「……馬鹿っ…アレン君の馬鹿!」
 
名前はそのまま振り返り、アレンの胸元に飛び込んだ。



「14秒も遅れてる!」
「……すみませんでした」
 
長い時間名前はアレンの中で泣いた。
アレンは彼女を抱きしめたまま、彼女が泣き止むのを待った。
 
その後、二人がどうなったかはまた、別の話――。



―――――――

「それで、プレゼントは?」
「それ、本気で言っていますか?」
「ん〜…………」
「まぁ、名前のことなので特に気にしませんが。僕が"プレゼント"ではどうでしょう」

2012/01/06


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