きみのため、ぼくのため(日吉)



「日吉くん」
「夢、」
「ココア、飲む?」
「…あぁ、」


受け取ったマグカップ。
口には甘さが広がった。

正直、あまり好きでもなく、飲み慣れもしない。

ただ、今の雰囲気にはあっていると思う。
この雰囲気は、好きだ。


「今日も寒いねぇ…」
「そうだな」
「日吉くんは、今日も部活だったんだよね?」
「ああ」


いいなぁ、と楽しそうに笑う。
生まれつき体の弱い夢は、体育や運動部が無理で。
古武術やテニスをする俺を、羨ましいとよく笑う。

何も極められない、この俺を見て…嬉しそうに。


彼女のためにも、俺は頂上に行きたい。
でもそれは敵わず、俺の上にはいつも兄貴や跡部部長が立ちはだかって。

どうせなら。
きみに、もっと高いところからの景色の感想を聞かせてあげたいのに。

そう思うと少し申し訳なくなる。
きみが好きになったのが、跡部部長なら…



「日吉くん、すごく難しい顔してる」
「え…」
「笑ってよ、日吉くん」


ね?と手本のように笑いながら、俺の両の手を握る。


「私は、日吉くんが楽しそうに武術とかテニスをしてる姿を見るのが好きなの」






…あぁ、そうか。
古武術やテニスが楽しいと、その気持ちはすでに見透かされていて。
そんな俺を見て、彼女はそれを好きと、そう言っているんだから。

俺がどんなポジションにいようと…そのことを、気負う必要はない。



ただ、自分のためにも、彼女のためにも…楽しめば、いい。




「て言うか、逆だね」
「え?」
「大好きな日吉くんには、楽しそうにしてもらいたいの。で…」


ココアのマグカップを顔の横に並べ、俺をまっすぐ見つめて首を傾けた。


「私が疲れた日吉くんを癒すからね」
「夢…」


そう言って笑う夢を。
俺はそっと抱き締めた。





- fin -


アリスさまからリクエストいただきました、日吉夢です!
…日吉夢で良かったんですよね…?←

何て言うか日吉がさだまらなーぃ\(^o^)/←
うちのサイト日吉密度薄いよ!!←

そんな感じでいかがでしょーか!

アリスさまのみご自由に!






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