崩れたショートケーキ(丸井)



甘酸っぱいラズベリーソース。
ほろ苦いオレンジピール。
アクセントのペパーミント。

何よりも重要な、ふわっふわのホイップクリーム。

スイーツの魅力を全部を兼ね備えた、俺的には完璧な存在。


「萩」
「ひゃ…」


どさ、とソファに倒れ込む。
驚いた様子で俺を見上げる萩が愛しい。


「萩」
「なに、ブンちゃん」

「すき」


薄く開いた唇に、俺のそれを押し当てる。
口内に進入すれば、舌と唾液が絡まった。

あまい。


「んん…」


くちゅ、と言う水音と萩の艶っぽい声で…もう、思考が停止しそう。

萩が好きでしょうがない。


「萩」


唇を離れて、そっと首筋にそのまま宛がう。
萩の白い肌に、朱の花弁。

俺の証。


「ブンちゃん…っ」
「ん?」
「私も、すきだよ」
「…うれしい」


ソファーはスポンジ。
俺はイチゴ。

で、萩はホイップクリーム。


完璧だね。
甘い甘い、ケーキの出来上がり。


「いただきますっ」
「肉食イチゴー!」




もう、形とかどうでもいいや。
甘ければ、それで。

形が崩れたショートケーキは、何よりも甘かった。






- fin -




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