俺とお前と犬と犬。 「しーしーどー!」 「お、滝」 犬の散歩中。 同じく犬の散歩中の滝と出会った。 …まぁ俺は豆柴、ヤツはハスキーだけど。 そしてうちは全力で吠えていて、ハスキーは特に気にする様子もなく凛としている。 「ごめんな、うちの相変わらずで…」 「ふふ、元気で良いじゃない。」 ねぇ、とハスキーに笑いかける滝。 ハスキーは座って滝を見上げ、尻尾を2、3回振って見せた。 「…何か俺とお前みたいだな」 「え?」 「バカみたいに騒ぎ立てる俺と、いつも落ち着き払ってるお前と。」 俺に抱えられてようやく落ち着いた犬の頭を撫でながら、思わずそんなことが口をついた。 落ち着いて、何気なく俺たちをまとめる。 そんな存在が滝だから。 「頼りになるって言うか…」 何て言うか。 「…ねぇ宍戸」 「ん?」 「それは俺を褒めてる?この子を褒めてる?」 「…っ…!犬だよ、犬の話だっただろ?」 あれ、犬の話だったよな。 滝は「全力否定だねぇ」と笑う。 「宍戸は、俺のこと嫌い?」 「バカか!好きに決まって……」 …ん? 俺、今何だかとんでもないことを口走ったような… 「ふふ、本当に?嬉しいなぁ」 本当に、嬉しそうに笑いながら、滝は先を歩いて行ってしまった。 俺は確か好きだとか口走って… え、好き、が、嬉しいってこと、か? …何かよくわかんなくなってきた。 「宍戸ー?行かないのー?」 滝に合わせたかのように、抱えていた犬も吠え始める。 俺は我に返ると、滝目指して走り始めた。 - fin - 宍滝は滝が半歩くらい大人だと調度良い感じで。 |