隣 隣にいるのが当たり前だった。 ずっとそうだった。 だから正直、俺がイギリスに留学が決まったとき、当たり前のようにお前も一緒だと思った。 『何言ってるのさ。俺は日本に残るよ』 お前はお前でそれを当たり前だと思っていた。 あぁ、だからか、とその時に俺はやっと気付いた。 あのころのお前は、やたら寂しそうだったから。 「やはりお前の居場所は俺の隣だな、萩之介」 「うわぁ、帰ってきて早々、意味深な発言。景吾のファンが言われたらたぶん意味履き違えて失神するよ。」 まるでプロポーズだね、と萩之介は俺の隣で笑った。 何がおかしい、と俺は萩之介の肩を抱き寄せる。 「プロポーズなら…履き違えて貰って構わねぇよ」 「…え?」 「もう、お前から離れたくないからな」 萩之介の定位置は俺の隣で、俺の定位置は萩之介の隣で。 その当たり前、をもう二度と崩したくなくて。 「好きだ、萩之介。ずっと、俺の隣に居て欲しい。」 そう、心から思った。 - fin - 跡滝は中三の時点でベテランカップル← 「おい、あれ」 「はい、これね」 的な← |