無意識ランウェイ




マラソンに出ると何も考えずにただひたすらに走り続けてしまう。

走って走って…
ついた先が、氷帝で。


「薫くん!ここまで走ってきたの?」
「…滝さん…」
「すごい汗…今お水持ってくるからね!」


待っててね!と走っていってしまう。
…待つしかねぇじゃねぇか…。




「はい、おまたせ」
「…どもッス…」


ペットボトルに入った冷えた水とタオルを持って、滝さんはすぐに戻ってきた。
俺がそれに口をつければ満足そうに笑う。


「しかし青春台からここまで走るんでしょ?すごいなぁ…」
「俺の場合は普通ッスから…」
「あはは、確かによく逢うよね」


よく、逢う。
…よく、会う?

走るときは無心。
…俺は、無意識にここまで…


滝さんに、会いに来てる?


「あ…毎回走るの邪魔しちゃってごめんね?」
「いや!その、滝さんなら…邪魔なんかじゃないッスから…」


氷帝まで走ってきて。
滝さんに会えなかったら。

そう思うと、何だか虚しい。


「そう?」
「…その、俺…」



滝さんのこと、好きッスから。





その言葉はやはり喉につっかえて…
俺は、立ち上がる。



「薫くん?」
「水とタオル、ありがとうございました!」





頭を出来るだけ深く下げて、逃げるように再び走り出す。


「明日も待ってるね!」



そんな言葉を背に、らしくなく少し笑いながら。







- fin -


初海堂×滝!
海堂がさだまらない!←

って言うか中の人おんなじだから想像するとすごく面白い←






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