誘導告白





最初はやたら美人な他校のテニス部員。
次に会ったときは侑士の部活仲間。
その次に初めて会話をして。

その次には、もう惚れてた気がする。





「けーんやくん」
「お…おう、何や、滝か。」
「えー、俺だけ苗字とか何か寂しい。」


俺は謙也くんって呼んでるのに、と俺の隣に座りながら唇を尖らせる滝。
…かわええな、それはほんま反則やで。


「萩、之、介、やったっけ?」
「うん。」
「は…萩……あー、やっぱなんかハズイ。萩でえーやろ!」
「えぇー…んー、でもまぁいっか。これからは絶対『萩』だからね!」


約束!と小指を立てて、俺を見上げるた……萩。
その小指におそるおそる自らの小指を絡めてみればお決まりの「指きりげんまん」を歌い始める。


「うそついたら針千本飲むんだからね、俺が。」
「え、ちょ、何で萩やねん」
「はい指切った!」


小指が離れて、萩がいたずらに微笑む。


「俺を殺さないでよね、謙也くん」
「…プレッシャーやなぁ…。」


離れた小指を見ながら苦笑する。
萩は楽しそうに「そうかなぁ」と笑った。


「せや、いいこと思いついた」
「んー?」
「ほれ、恋人同士なら名前で呼ぶのも普通やろ?」
「え…まぁ…」


「ほんなら萩、俺と付き合わへん?」



へたれな俺にはあと一歩、勇気がなくて言えなかった言葉。
きみの誘導ですんなりと口をついた。


その言葉を聴いて、待ってましたと言わんばかりに萩は満足げに笑った。



「うん、よろこんで!」






- fin -


先に好きになったのは実は滝の方だとおいしい謙滝。








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