受け止めて



「好きや。」
「…牛丼食べたいね。」


からあげも良いかもね、と笑う萩。
…大阪にはからあげ置いてるあの牛丼屋は空港にしか無いで。


「えー、からあげおいしいのに。」
「…萩…」
「…だって、蔵の『好き』は聞き飽きたよ。多分景吾の指ぱっちんよりも回数多いよ。耳にたこさんできちゃうよ。謙也くんにたこ焼きにされたらどうすんの。」
「そうやった!すまん!……って、んなわけないやろ!」
「おお、本場のノリツッコミ。」


本当はそれ以外にも牛丼屋の話ちゃうとか、からあげに関して心読むなとか、いろいろボケ倒してくれているおかげでツッコミ所は満載なのだが。
…いや、これはボケ倒してるんとちゃう。

完全にごまかしとる。

ぎゅ、と萩を抱き寄せる。
「わぁ」と小さく声を上げてそれには素直に応じる。


「俺はこんなに好きなのに。」
「…もー、俺だってちゃんと好きだってば」


めんどくさいなぁと呟きながら。
思いっきり、俺から視線を背けて。


「…好きじゃない奴と付き合ったりしないし、好きじゃない奴に毎日そんなこと言われたら本気で逃げるもん。」



…ああ、となんとなく納得した。
そういえば、いつ何時「好き」と言っても萩はそれを受け止めてくれていた。
答えないけれど、受け止めてくれる。

それだけで、幸せなことだったんだ。


「んー、やっぱ伝え足りん。」
「…あー、そ。じゃあずっと言ってなよ。聞いてはあげるから。」


途中で飽きて寝ちゃうかも知れないけどね、なんて。




夢の中まで届けたる。
この想いなら、きっと届くはず。





- fin -


白石→→→→→←滝→何か美味しい物くらいがちょうどいい白滝。






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