最後の告白






「はーぎっ」
「何?ブンちゃん。」
「好きだよ」
「…うん、知ってるよ?」


そりゃそうだ。
逢って、一目惚れしたその日に告白して…
これで告白、通算何度目だろうって話。

軽々しく言うもんじゃないって、わかってる。
だからいつも本気。全部本物。


萩が、好き。



返事はこれでよかった。
やさしい萩に、「萩は?」なんて聞き返してしまったら「俺も好きだよ」って答えてくれる。
俺を傷つけないように。
意味合いは「LIKE」だろうけど。

知ってる、とか分かってる、といつもなら笑って答えてくれたのに。


今日の萩は、いつもの返事に詰まって。
しかもその顔には苦笑を浮かべていて。

…困ってる?嫌われた?



「…萩…?」


心配になって顔を覗き込む。
そしたら萩は…さらに苦しそうに表情をゆがめて、俺から視線を背けてしまった。


「…は…ぎ……?」
「…ごめんね、ブンちゃん。」
「え…?」


今にも泣きそうな表情を浮かべて、萩はゆっくり視線を俺に戻した。
まっすぐと、俺を見つめる視線はとても強い。


「ブンちゃんが隣にいて、俺に『好きだよ』って言ってくれる時間…すごく好きでさ。このままで居たくてずっと返事をしないできた…」


でも、と言葉を一生懸命紡ぐ萩。
俺は黙って聞くことしかできなかった。


「…景吾に言われたの。『いつまで返事をしてやらないつもりだ』って。…あぁ、確かにそうだなぁって、今までの俺の行動思い返したら反省しちゃった。」


今更だよね、と萩は弱々しく笑った。
俺は言葉を詰まらせつつ、それでも一生懸命首を横に振った。


「ブンちゃん…」
「俺、萩がそう思ってくれてたってだけでうれしい!…そりゃあ、OKがもらえたらうれしいけど、振られたら立ち直れそうにないし…」
「そんな!振るわけ…」


は、と気づいたように萩の言葉はそこで止まった。
真っ赤になった顔を両手で覆う。

…あぁ、そうか。そうなんだ。


「…萩、今日はもう一回、言っていいかな…」
「……うん…」









「好きだよ」
「…俺も、好き、だよ…っ」









君からの「好きだよ」がこんなに幸せな言葉だったなんて。
今まで何度も告げてきたその言葉が、特別に思えた瞬間だった。








- fin -


ブン滝は中高生っぽいカップル。






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