詐欺師と魔術師



立海の詐欺師。
氷帝の魔術師。

そんな異名をつけられた俺たちが、初めて出会い試合をしたのは2年の時だった。
どちらも準レギュラー同士での練習試合。


「のう、お前さん魔術師って呼ばれてるらしいのぅ。」
「そうみたい。君は詐欺師でしょ?」


悪者じゃん、と笑ってサービスを打ってくる。
見た目に反して案外するどい打球にサービスエースを許してしまった。


「…そっちのが、よっぽど詐欺師じゃ」
「あら、異名盗っちゃってごめんなさい」


そのときは、ただ純粋に「面白いやつ」と…そう感じた。




だけだと、思っていた。









「結果って、どうじゃったっけ?」
「雨降っちゃって俺の勝ち逃げ」
「のぅ、また試合…」
「やだ」


それから俺は再戦を望んで来たけれど…姫さんと来たら頑固拒否を続けていて。
こんな面白い試合、他にはないぜよ。


「たーきー」
「仁王、暇なら他で遊んできて」
「嫌じゃ。お前さんとおる」
「…何なの…」
「好きだからぜよ」


ぎゅ、と後ろからその細い腰に腕を回す。
滝は「は?」と俺を見た。


「何の冗談?」
「冗談でも詐欺でもない、本気。」







本当は。
同じコートに立って対峙したあの日から。


俺は楽しめる試合を望んでた。
そして、俺は君に惚れていた。







「好いとうよ」




魔術に掛かった、まさかの詐欺師。








- fin -


詐欺師も魔法には勝てない。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -