側に君




「もう少し右ー」
「こっち?」
「や、ちょっと、ほんの気持ち……っとー、そこ!」


ルノアールの絵画のパズルが入った額縁。
…流石に中学生が本物は買えないからね。
それを滝指導の元に壁に掛けた。


「パズルだけどなかなか良いね」
「うん。…大変だったもんねぇ…」


パズルは細かいピースで、しかも同じような色が多い。
…確かに、滝の言う通りなかなか大変だった。

天井、壁紙…全部が白い部屋。
見慣れたその部屋の真ん中に置かれた、やはり白いベッドに座る滝。…そこだけが見慣れない風景。


「…しかしまぁ、入院がこんなに退屈だなんてね」
「でしょ?」
「しかも元重病患者に面倒かけることになるとは…」


そう、今度は滝が入院することになった。
…そんなに、重病ではない、らしいけど。


「俺が入院してる間、滝にはお世話になりましたから」
「…幸村、」
「尽くしてあげるからね、目一杯。」


えー、と言いながら笑う滝。
俺はそんな滝を抱き締めた。


「好きだよ、滝」
「…ふふ、知ってる」


俺が入院中に貰ったたくさんの勇気や優しさ…いろんなもの。

それが、少しずつでも返せればよいな。





- fin -

幸滝は大人に見えて実はお互いにいたずらしあったりするカップル←







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