マネージャー交換











某日……
6校のテニス部に、中体連から通知が届いた。







「「「マネージャー交換?」」」











___青春学園



「…ですか」
「あぁ、氷帝の榊監督の発案でな…」
「…あの人ですか…」


セレブの思考ってよくわかんねぇー…。

私は部活中、手塚先輩に呼ばれて部活を終えた今、ミーティングルームで話をしていた。
…実際には聞き耳立ててるやからがたくさんいるけれど…。


「うちにはマネージャーがいない。そこでお前に頼みたいのだが…」
「…まぁマネージャーみたいなことはチラホラやってますからね。いいですよ」
「引き受けて貰えるか、たすか…」
「ダメダメ絶対だめー!」
「…英二先輩…」


ガラッと派手な音をたてて扉が開いた。
振り返れば……不二先輩やら越前やら…もちろん、乾先輩も。


「僕も反対だな」
「俺もッス」
「…あのですね…」


榊監督絡み=確実に中体連を引っ掻けてる。
断れない頼みなら…私が引き受けるしかないだろう。


「手塚先輩、あの人たちは全面無視の方向で」
「いいのか?」
「はい…それに、他のテニス部…興味深いですから」


止めるために書類を奪おうとする英二先輩を避け、私は名前を書いて判子を押した。


「「あー!!」」
「うるさい!…で、私はどこに…?」
「あぁ、木川は……」





青学、参戦!













___氷帝学園



「ほわわ、私が行って良いんですか?」
「…楽しそうだな、木川」
「だってマネージャーとしてのお仕事ですよね…!」


うれしい…!私にしかできないこと…!
私は嬉々として書類を見る。
跡部先輩は呆れ顔。

…と、後ろからギュッと誰かに抱き締められる。


「娘を嫁に出すときってこんな気持ちなのかな…?」
「萩先輩…!」


その腕は萩先輩。
…そんなこと…!


「そんなこと言わないでください…!私は萩先輩の元に戻ってきます…!」
「絶対だよ…?」
「はい!」


私も向き合って抱き締め合う。
大丈夫です、萩先輩!すぐに戻ってきます…!





氷帝、参戦!









___立海大付属



「つーか私マネージャーじゃない。」
「えぇ?だって、君宛に来てるよ?」
「それはこの間のせいでしょ」
「不動峰のマネージャーかもよ?」
「よし任せろ。」




立海、参戦!









___四天宝寺




「面白そうですね…!」
「せやろ?…俺としては不安もあんねんけどな」


私に渡された、1枚の紙。
期間は一週間…その間住むところはホテル…
負担は中体連持ちだし…何かスゴいなぁ…。


「行くか?」
「はい、ぜひ!」
「そか。ほな、ここに名前書いて。印鑑あるか?」
「はい」


書類に名前を書く。
みんなが興味津々で私が書く書類を見ている。


「おぉ、木川はんが行くのは不動峰やな」
「?何かあるんですか、石田先輩」
「ワシの弟の学校や。鉄という名前や。」
「俺の幼馴染みもおるたい。部長の橘桔平ってやっちゃ」
「俺の友達もおるで。神尾アキラっちゅう。」
「石田先輩の弟さんと…千歳先輩の幼馴染みさん、財前くんのお友達…」


すごいなぁ…うちとは縁が多い学校なんだ…。
楽しみだなぁ、とワクワクしながら私は印鑑を押した。




四天宝寺、参戦!













___不動峰



「…氷帝の監督さんですか」
「するどいな、夢」
「突拍子ないこと考える中体連がらみなんて予想に容易いです。」


まぁ…いつも思うよりも役に立ってみたりするんだけれど。
この間の合同練習もそうだったし…。


「で、どうする?一応、今回は強制ではないらしいが…」
「…そうですね……まぁ、榊監督にはお世話になってますし、負担もないなら…行ってみます」
「そうか!そうだな、たくさん経験するのはいいことだ。」


ここに名前と印鑑を、と言われて記入を始める。
と、伊武、と書いて思い出す。


「…橘さん」
「ん?」
「…深司と桜井さんには内緒にしててください。あとアキラくんも…」
「……そうだな」




不動峰、参戦!









___山吹



「へー、はほひほうへふへ!」
「…その口の中のお菓子飲み込んでから話せ。」
「…、ごっくん。へー、楽しそうですね!」


カラオケでの駄菓子パーティー中に、南先輩に思い出したと話題を振られる。
マネージャー交換かー…うん、楽しそう。


「参加するか?」
「いえーい!」
「じゃあここに名前を…」
「次夢ちゃんだよー」
「よっしゃー!あ、南先輩書いといてください。木川夢歌います!『天城越え』!」
「Why!?」




山吹、参戦!










「全校、参加と言うことで回答を得ました。」
「そうか。御苦労、滝。」
「ホテルも予約取れました。生活費と含めて、こちらの金額をこの口座にお願いしますね」
「……これほどとは……」
「急な予約でしたから、高い部屋しかなくて。」



………………。



「…滝、」
「何でしょう?」
「何をイライラしている」
「あなたの存在に。」
「…行ってよし。」
「失礼します」







- fin -

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