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来週からは春の陽気になるというのに、今日は雪が降っている。

「昨日降ってたらホワイトバレンタインだったのに」

「おいおい、無茶言うなよ」

ベッドの上を転がって寝返りを打ち、尾形さんがいるほうを向く。

「じゃあ、行って来る」

きちんとネクタイを締めて上着を着た尾形さんが言った。
スーツ姿の尾形さんは色気ダダ漏れで、いつもの五割増しくらいエロい。

「お見送り…」

「今日はいい。無理せず寝てろ」

「尾形さんが優しい…」

「俺はいつも優しいだろ」

私にキスをした尾形さんはそのまま寝室を出て行ってしまったので、急いで床に落ちていた尾形さんのシャツを羽織ってあとを追った。
壁伝いに何とか玄関まで行くと、尾形さんは靴を履いてもう出て行こうとしているところだった。

「行ってらっしゃい」

「お前…それ出勤前はやめろよ。ヤリたくなるじゃねえか」

「尾形さんのスケベッ」

「いまのお前の格好のほうがスケベだろ」

一度開けた玄関のドアを閉めた尾形さんに抱きしめられてキスをされる。
それはもう、熱烈に。
いってきますのキスにしては濃厚過ぎるのを。

「ん…ちゅぱ…ぁん…」

「ハ、エロい声出しやがって。いやらしい女」

「尾形さんのせいですよ」

「まあ、俺がそう躾たからな」

私の濡れた唇を舐めて、尾形さんは私の身体を離した。

そもそも、今日こんな状態なのは、昨日のバレンタインに尾形さんからのリクエストでお風呂でチョコレートローションを使ったマットプレイをしたからなのだ。

しっかり洗い流したはずなのにまだチョコの匂いがする気がして、くんくんすると、尾形さんが私の頭を撫でた。

「安心しろ。帰ったらまたあれ使ってヤッてやる」

「バレンタインはもう終わりましたよ!」

「足りねえな。今度は完全に足腰立たなくなるまでやるから覚悟しておけ」

「尾形さんの変態ッ」

「その変態のこと愛してるんだろ?」

お互い様だと笑って尾形さんは玄関のドアを開けて出かけていった。

「…寝よう」

私はというと、またよろよろと壁伝いに寝室に戻ることにした。

今度こそヤリ殺されるかもしれないと思いながら。


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