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「焦凍くん!」

「俺の後ろにいろ。動くなよ」

返事をする間もなかった。
パキパキッ!と音を立てて、焦凍くんの足元から凄まじい勢いで地面が凍りついていったからだ。
それはその場にいたヴィランとおぼしき男達をたちまち凍りつかせてしまった。
何かする暇も与えずに。

「子ども一人になさけねぇな」

「っ…!」

「しっかりしろよ。大人だろ?」

焦凍くんが冷静な声音で揶揄する。
中には手強そうなのも数人見受けられたが、その男達も焦凍くんの速攻には敵わなかった。

「散らして殺す…か。言っちゃ悪いが、あんたらどう見ても『“個性”を持て余した輩』以上には見受けられねぇよ」

よく見れば、ここは盛り上がった砂地のてっぺんで、周りには土砂崩れの跡のような場所もある。
たぶんここは土砂ゾーンだ。
あの黒い霧のようなものに飛ばされてここに来たのだとしたら、ここで待ち構えていた彼らはやはりヴィランなのだろう。
焦凍くんの素早い状況判断と攻撃になす術もなかったようだが。

「こいつ…!!移動してきたとたんに…」

「本当にガキかよ…いっててて…」

「なあ」

凍てつく冷気が支配する中、焦凍くんが語りかける。

「このままじゃ、あんたらじわじわと身体が壊死してくわけなんだが、俺もヒーロー志望、そんな酷ぇ事はなるべく避けたい」

焦凍くんの物騒な脅し文句に、男達は一様にギョッとした顔を見せた。
なるべく避けたい、ということは、相手の出方次第ではそうするのもやむなしと考えているということだ。
凍りついた男達は今や完全に戦意を喪失していた。

「あのオールマイトを殺れるっつう根拠…策って何だ?」


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