※アニメEDより 「学園祭の時の王子様かっこよかった」 「なんだ、いきなり」 教科書を開いていた焦凍くんがこちらを見たので、私は自分が見ていた雑誌を彼の前に広げてみせた。 「ハロウィンの仮装特集見て思い出したの。あれも仮装みたいなものだし」 「そうか」 「今色々な仮装があるんだね。焦凍くんはどれがいい?」 「そうだな……」 焦凍くんは仮装特集のページにじっと視線を注いで吟味している。 そんなに真剣に選ばなくてもと思ったが、そこが焦凍くんの良いところのひとつなので、私も真剣に彼の答えを待った。 「これがいい」 焦凍くんが指差したのは、スタンダードな魔女の仮装。 「えっ、焦凍くんこれ着たいの?」 「いや、お前が着るのを選んだ」 「なるほど。じゃあ、私は魔女にするね。焦凍くんは?」 「俺はこれにする」 焦凍くんが指差したのは、吸血鬼の仮装だった。 「うん、似合うと思う。かっこいいよ」 「そうか」 ほんの少し笑ってくれた焦凍くんのイケメンぶりにくらくらしつつ話を聞くと、 「魔女とセットじゃねぇのか?」 と、天然なお言葉を頂いた。 決してセットなわけではないけど、スタンダードな仮装同士で合っていると言えば合っている。 「八百万に作って貰うか。魔女の仮装」 「私はいいよ。でも、吸血鬼の焦凍くんは見たいな」 「二人分作って貰えばいいだろ。魔女見てぇ」 このあと、本当に焦凍くんは八百万さんに頼んで二人分の仮装を手に入れてくるのだが、この時の私はまだ、吸血鬼の焦凍くんを想像してデレデレしているだけだった。 焦凍くんの行動力こわい。 |