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焦凍くんはイイ身体をしている。

別に変な意味で言っているわけではなく、ヒーロー候補生らしくしっかり鍛えてるんだなと感心しているだけだ。
決してやましい気持ちで見ているわけではない。

だけど、いくら幼なじみだからといって年頃の女の子の前で無防備に裸をさらすのはどうかと思う。

「私も女の子なんだよ焦凍くん」

「?なんだ、突然」

不思議そうに首を傾げた焦凍くんは上半身裸で、見事な肉体をさらしている。
日課である早朝のトレーニングを終えたところで、「熱い」と言って汗で濡れたシャツを脱いでしまったのだ。

確かに熱いだろう。
ハードなトレーニングによって限界までいじめられた焦凍くんの身体からは湯気が立ち上っている。

「早く拭かないと風邪ひくよ」

「ん」

焦凍くんにタオルを押し付けると、彼は素直に汗を拭き始めた。
素直クール大変良いです。

「はい、これ着て」

あらかた拭き終わったところで、こんなこともあろうかと用意しておいた着替えのシャツを渡した。
汗を絞ってそのまま濡れたシャツを着ようとしていたらしい焦凍くんはちょっと驚いた顔で新しいシャツを受け取った。

「持って来てたのか」

「そうだよ。褒めて」

「わりィ、助かった」

「どういたしまして」

褒めてほしかったのだが、感謝されただけでも充分か。
シャツを着た焦凍くんにすかさずドリンクボトルを差し出す。

「スポドリもあるよ」

「用意がいいな」

いつもはランニングコースの終点にある自販機で買って飲んでるみたいだから、今日は着替えと一緒にスポーツドリンクも持って来たのだ。

「私は焦凍くんの相棒だからね」

「ああ、俺にはお前しかいねぇ」

焦凍くんは大真面目に言って頷いた。
そんなに真っ直ぐ肯定されると照れるけど嬉しい。

「明日も一緒にトレーニングするか?」

「うん!」

微かな微笑みを覗かせた焦凍くんに、私は天にものぼる気持ちで頷いたのだった。


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