特にこだわりがなかったので、簡単な注文書きだけでヒーロースーツをオーダーした。 その結果、出来上がったスーツを見て、 「…ちょっと小さ過ぎない?」 ストレッチ素材だと書かれていたから伸びるのだろうが、それにしても小さい気がする。 着てみたら、やはりぴっちぴちだった。 レオタードどころか全身タイツレベルで身体にぴったり張り付いている。 これで人前に出るのはかなり恥ずかしい。 いや、この上にもう一枚着るわけだけど。 「良かった。こっちは普通だ」 ナース服をイメージした白い服は、その見た目に反して汚れにくい素材で出来ている。 戦闘や怪我人と接触しても問題ないという優れものだ。 それをぴったり全身タイツの上に着た。 「なまえちゃん、エロいわ」 「ええっ!?」 「下手に生足よりタイツなのがエロいよね」 「響香ちゃんも!?」 「ナース服の裾がギリギリ下着が見えない丈なのもエッチだよ!」 「透ちゃんまで!」 今更ながらに後悔したが、もう時間がない。 仕方なくそのままの格好で更衣室を出て集合場所に向かった。 「なまえ」 出来れば見つかりたくなかった相手にすぐ見つかってしまった。 焦凍くんが珍しく怒ったような表情でこちらを見ている。 「なんだ、それ」 「ヒーロースーツだよ…」 「いや、ヤバいだろさすがに」 焦凍くんは険しい顔で上から下まで見下ろして言った。 「八百万、こいつにスパッツか短パンみてぇなもん作ってやってくれないか」 「ええ、お任せ下さい。すぐ用意しますわ」 あ、その手があったか。 百ちゃんが快く引き受けてくれて助かった。 「これでよし、と」 百ちゃんに創造して貰ったスパッツを履いて準備完了。 「ん、ましになったな」 今度は焦凍くんからも文句は出なかった。 ましになったってことは、そんなに酷かったのか。 「露出が多すぎるのは賛成出来ねぇ」 「うん」 「あと、なんか峰田が言ってたんだが、コスプレっぽくてやべぇ」 「…うん」 「そういうのは俺の前だけにしてくれ」 「うん?」 「ヤバいのは間違いねぇが、嫌いじゃなかった」 「焦凍くん…?」 「お前を見た時、なんか、胸のあたりがモヤモヤっというか、ムラムラした」 「しょ、焦凍くん?」 「だから、他の奴の前ではやめろ」 「う、うん、わかった」 焦凍くんは満足そうに頷くと、私の頬を撫でて歩いていった。 他のみんなは驚いたような顔で私達を見ていたが、焦凍くんが近づくと、そそくさと視線を逸らした。 焦凍くんに触れられた頬が熱い。 「…びっくりした」 |