仮免試験に落ちてしまった焦凍くんは、毎日のように補習に通っていて、今まで以上に忙しい日々を送っている。 今日もどんな内容だったのかボロボロになって寮に帰って来たのを見つけて、急いで自分の部屋に引っ張って行き、すぐに治療を施した。 「大丈夫?毎日大変だね」 「ああ。でもやり甲斐がある。これもヒーローになるための試練だからな」 「偉いね、焦凍くん」 よしよしと頭を撫でると、「ん」と大人しく撫でられてくれる焦凍くんが可愛すぎて困った。 公園で一緒に遊んでいた小さい頃の焦凍くんに戻ったみたいで、何だかくすぐったいような気持ちになる。 「爆豪くんとは仲良く出来てる?」 「努力はしてる」 「まあ、爆豪くんだからねぇ」 焦凍くんから歩み寄ろうとしても、なかなか心を開いてはくれないだろう。 「なまえ、疲れた」 「うん、お疲れさま」 「膝、貸してくれ」 「ん?うん、どうぞ」 ごろりと横になった焦凍くんが、私の膝を枕にして小さく息をつく。 膝枕はいいんだけど、太ももをさわさわ撫でられるのはくすぐったいよ、焦凍くん。 エッチな撫で方じゃないから、ただ癒しを求めてのことなんだろうな。 「こうしてると癒される」 「ふふ、そっか」 「子供みてぇだと思ってるだろ」 「そんなことないよ。頼られて嬉しい」 「なら、いい」 ふわぁとあくびをした焦凍くんの目が今にも閉じそうになっている。 疲れている上に、補習があるせいで睡眠時間がギリギリだから仕方がない。 「ちょっと寝る?」 「……ん……」 もうまともな返事も出来ないようだ。 そのまま目を閉じた焦凍くんは、やがてすやすやと穏やかな寝息をたてて眠ってしまった。 「大好きだよ、焦凍くん」 仮免取得までどれだけかかるかわからないけれど、将来の相棒としては全力でサポートする所存だ。 とりあえず、夕食が終わる時間までは眠らせてあげようと思いながら、焦凍くんのサラサラの髪をそっと撫でた。 |