季節の移り変わりに合わせて本丸の景趣を“梅雨”へと変更した。 覚悟はしていたが、じめじめとしていて蒸し暑く、何日も雨が降り続くので憂鬱な気分になってしまう。 今剣が作ってぶら下げてくれたてるてる坊主をぼんやり眺めていたら長谷部に心配されてしまった。 自分で“梅雨”にしておいてこの有り様なのだから情けない。 「本日の執務はとりやめにしてお休みになられたほうがよろしいのでは」 「うん…そうしようかな」 審神者の仕事の特徴は、職務と休みの境界が曖昧な点だ。 真面目な審神者なら、それこそ休むことなく毎日職務に励むだろうし、そうでない場合は自分で適当に時間を作って休まなければならない。 このままではどちらにしろ仕事にならないだろうから今日は丁度良い機会だった。 「長谷部」 長谷部の服の端を遠慮がちにつんつんと引っ張る。 彼の耳元でそっとお願い事を呟くと、彼は少しの躊躇もなく頷いてくれた。 「俺でよろしければ喜んで」 長谷部が準備をしに部屋に戻って数分。 もじもじしながら彼が敷いてくれた布団に座って待っていると、こちらへ向かって来る微かな足音が聞こえた。 「失礼致します」 蚊帳の片側を持ち上げて寝間着用の浴衣に着替えた長谷部が入って来るのを見た私は、両腕を広げて彼を迎えた。 それに応えた長谷部によってすぐに大きな身体に抱き込まれる。 「暑くありませんか」 「平気。気持ちいい…」 自分以外の体温に包み込まれることがこんなにも心地よいなんて。 癖になりそうだ。 「そんな可愛らしいことをおっしゃられると我慢が出来なくなります」 背中を優しく撫でさすった手の平が下へと滑り降り、尻をやんわりと掴まれる。 「長谷部……ん、」 逞しい胸元に埋めていた顔を上げると、直ぐ様口付けられた。 舌で舌を撫でられて、吸い出されたそれをちゅくちゅくとしゃぶられる。 「ん、ん……」 しとしとと降り続く雨の音が聞こえる。 それに混ざる衣擦れの音。 もつれ合う熱い身体。 長谷部の広い背中に手を回して抱きつき、甘やかすような愛撫に夢中になって応えた。 |