1/1 


「薬研、ちょっといい?」

「ああ、大丈夫だ。何か用か、大将」

「うん。あのね…」

「?」

私は薬研の部屋に入ると、後ろ手に障子をそっと閉めた。
薬研が近侍部屋に居てくれて良かった、と思いながら。
お陰で誰にも邪魔されずに済む。

薬研は何かの薬の調合をしていたようだが、その手を止めて私のほうに向き直ってくれていた。

「はい、これ」

「もしかして、バレンタインのチョコレートか?」

「うん。受け取ってくれる?」

「もちろん。嬉しいぜ、大将。その様子じゃ、俺のだけ特別なんだろ?」

「うん、そうなの」

受け取ったチョコレートのラッピングをほどいて薬研が感心したような声をあげた。

「へえ、このクッキーにチョコレートクリームをつけて食べるのか」

「そう、良かったら食べてみて」

「ああ、早速頂こう」

薬研がフィンガークッキーにチョコレートクリームをつけて食べる様子を私はドキドキしながら見守った。

「ん、美味いぜ」

「本当?良かった」

「さすがだな、大将」

「光忠に頼んで練習したからね」

「そうか」

光忠の名前を聞いた薬研の目が一瞬光った気がして、目をまたたくと、薬研は微笑んでチョコレートクリームを指ですくいとった。
そして、それを自らの白い太ももへと塗りつける。

「ほら、大将」

「ん」

求められていることを理解した私は、座った状態から四つん這いになり、薬研の太ももに舌を這わせた。
ねろりと甘いチョコレートクリームを舐めとる。

すると、薬研がまたチョコレートクリームを太ももに垂らしたので、私は夢中になってそれを舐めとっていった。

チョコレートクリームはとっくに取れているのに、まだ薬研の太ももを舐め回している私の頭を優しく撫でて、薬研が笑う。

「大将、もっとか?」

薬研が半ズボンのファスナーを下ろすのを見て、私はごくりと喉を鳴らした。

薬研の白い指先がそこにチョコレートクリームを塗りつける。

「続きがしたければ、どうすればいいかわかるよな?大将」

もちろんわかっている。


  戻る  
1/1
- ナノ -