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「今年のクリスマスはどういたしますか。ブッシュドノエル?シュトーレン?」

「長谷部はもう立派なパティシエになれるね」

長谷部と一緒に夕食の後片付けをしていると、クリスマスケーキの希望を聞かれた。
さっき壁に掛けられたカレンダーを見ていたから、それで思いついたのだろう。

まだ本丸に刀剣男士が少なかった頃、料理が出来る貴重な刀だからと、私は長谷部に頼りきりだった。
光忠や歌仙が来て随分楽になった今でも、厨房は俺の領域とばかりに、長谷部は新しいレシピのチェックに余念がない。
クリスマスケーキのバリエーションが増えたのも、世界には様々なクリスマスケーキがあることをタブレットで調べて知ったからだった。

「普通のデコレーションケーキでいいよ。長谷部の作るケーキはなんでも美味しいから」

「では、今年流行りのピスタチオを使ったものにいたしましょう」

「長谷部は本当に物識りだね」

「近侍たるもの、如何なることにも対応出来るよう、日々研鑽を積んでおりますから」

「長谷部は偉いなあ」

「主のためとあらば当然のことです」

「私のため?」

「ええ、俺はあなたの刀ですから」

長谷部に熱い眼差しを注がれて少し動揺してしまう。

極になってからの長谷部は、めちゃくちゃ積極的だ。
私の一番だという自信があるのか、他の刀剣男士に対して優越感のようなものを抱いている様子だった。

…まあ、長谷部の想いを受け入れてしまった私のせいなんだけれど。

「イヴの夜が今から楽しみでなりません」

「えっ、まさか、この前MVPのご褒美にミニスカサンタの衣装を頼んだのって…」

「楽しみですね、主」


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