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そろそろ梅雨の景趣に変えるべきか悩みはじめた頃、注文していた抱き枕が届いた。
連日7月のような夏日で暑くて寝苦しい日が続いていたから、ちょうど良いタイミングだったと言える。

この抱き枕、キャラものと違いシンプルな作りだが、何より肌触りが抜群に良い。
ギュッと抱き締めて顔をすり寄せて眠ると、驚くほど気持ち良く眠れるのだ。

そうして安眠出来た日が3日ほど続いたある日のことだった。

「どうか俺に閨のお供をお申し付け下さい」

長谷部がそんなことを言い出したのは。

「えっ、でも……」

「この通り、伏してお願い申し上げます」

「ええ、ちょっと、長谷部?」

寝間着姿で就寝前にこの離れを訪れた長谷部は、綺麗な土下座までしてそうお願いしてきた。

「そのような布きれなどよりも、俺のほうがお役に立ちます」

私が困惑していると、長谷部は顔を上げて、キッと例の抱き枕を睨み据えた。

つまり、抱き枕に焼きもちを妬いているということか。

私は笑って長谷部を抱き締めた。

「長谷部、長谷部。大丈夫。長谷部が私の一番だからね」

「では、添い寝を許して頂けますか」

「うん、うん、一緒に寝よう」

「ありがとうございます」

顔を輝かせた長谷部が私を抱き上げて布団へと運んでいく。

布団の上にそっと降ろされ、長谷部が隣に身体を滑り込ませてきたので、抱き枕にそうするように彼の身体に腕を回してきゅっと抱き締めた。
大きな身体は抱き締め甲斐がある。
寝間着の布地の肌触りも良く、私は長谷部の胸元に頬をすり寄せた。

「お慕いしています。主……俺の、俺だけの主」

背中を優しく撫でる手が気持ち良い。
寝間着を通して伝わってくる体温も心地よく、とろとろと蕩けるような眠気を誘われた。

「ん……長谷部」

顔をあげてねだると、すぐに口付けが与えられた。
最初は優しくついばむように。
それから、そろりと舌で唇を舐められて、薄く開いた口の中へとそれが入ってくる。

「ん、ん…あむ、ちゅ…」

情熱的な口付けを繰り返される内に、じわじわと熱が上がってくるのを感じる。
内腿もすり合わせると、長谷部の手が前に回り込んだ。
浴衣の裾を割って手が入り込んだと思うと、長谷部の長くしっかりした指が濡れ始めた場所を優しく擦る。

「長谷部…だめ…」

「大丈夫です。そのままおやすみ下さい」

「あん…ん、ちゅ」

深々と口付けられながら、秘所を擦られると、身体がふわふわとしたものに包まれるような感覚がして軽くいってしまった。

「はふ……はぁ…」

唇を離した長谷部が頬や額にキスを落としてくる。

「今日もお疲れさまでした、主。ゆっくりおやすみ下さい。俺がこうしてずっとお側におります」

「うん…」

そのまま眠ってしまった私は、翌朝、長谷部の上に跨がってあんあん鳴くことになるのだが、いまはまだ優しい眠りの中にいた。


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