それからは夢のような時間だった。

ふわふわとしていて心地よく、酔いも手伝って普段より饒舌になっていたし、よく笑ったと思う。
及川は聞き上手の上に話題が豊富で、なまえを全く飽きさせなかった。
こんなに楽しい時間を過ごせたのは初めてだ。

あっという間の二時間だった。

「あ、そろそろ帰らないと」

「えっ、もうそんな時間!?早いなぁ」

時計を見てようやく二時間が経った事に気付いたなまえに、及川は残念そうな声音で言った。

「延長しない?まだまだなまえちゃんと一緒にいたいよ」

思わず延長してしまいそうになったが、何とか踏みとどまる。
初回は二時間コースだけと決めていたのだ。
残念だが仕方ない。

「すみません、今日はこれで帰ります」

「そっかぁ…残念。でも、また逢いに来てくれるよね?」

「もちろん」

「絶対だよ。次も必ず俺を指名してね。約束」

真摯な表情で訴えてくる及川にときめきながら、小指を絡めて指切りさせられる。

「ありがとう。君が来てくれるのをずっと待ってるよ、なまえちゃん」


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