なまえは赤屍と一緒に彼の部屋に立てこもっていたが、生き残っている他の二人も同じく自分達の部屋に閉じこもっているようだった。 一応一緒にいようと誘ってみたのだが、そのカップルの彼女のほうは、赤屍かなまえのどちらかが犯人だと思っているらしく、二人でいるほうが安全だからと言い切られてしまった。 疑心暗鬼に陥るのも無理はない。 赤屍がいなかったら今頃は自分も半狂乱になっていただろうと考えると、彼女達を責める事は出来なかった。 「………ん、」 いつの間にか意識が途切れていた事に気付き、慌てて目をこする。 「眠っても良いのですよ」 「だ、大丈夫です…」 隣で小さく笑う気配。 なまえと違い、彼はまるで恐怖を感じていないようだ。 恐ろしい殺人鬼が徘徊している状況にありながらも、常に冷静でいられる赤屍が羨ましかった。 「平気です…夜明けまで…起きていれば……」 夜が明ける頃にはきっと吹雪も止んでいるに違いない。 そうすれば、ペンションから逃げ出す事も出来る。 朝までの辛抱だ。 |