目覚めはお世話にも爽快なものとは言えなかった。
昨夜の余韻が残っているせいで頭がふらふらしていたし、身体も重くてひどく気怠い。

なまえの唇に軽くキスを落とした桜色の唇が淡い笑みを型どったのが見えた。

「気分はどうだい?」

「……頭がふらふらします」

「だろうね」

半兵衛は涼しい顔で頷いた。

「秀吉達と合流するまでまだ時間がある。ゆっくり休むといい」

「半兵衛さんはドSなのか優しいのか解りません」

「飴と鞭の使い分けは特技でね」

なまえの髪を撫で梳かす手つきは優しい。
でも昨夜は鬼だった。

その優しくて鬼畜な恋人は、なまえを片腕に抱きながら、もう片方の腕で何故かウェディング情報紙を広げている。

「僕はゲストハウスウェディングがいいと思うんだけど、君はどれがいい?ドレスも好きなデザインのものを選ぶといい」

そんな半兵衛を当たり前に受け入れてしまうのだから困ったものである。
たぶん遺伝子と魂に《竹中半兵衛を愛せ》という命令が刻みこまれているのだ。
どんな世界でどんな形で出逢ったとしても必ず彼を愛するだろうという奇妙な確信があった。

【終】


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