エントランスホールに出るとすぐに、あの巨大な顔が動いているのが見えた。
相変わらず柱に張り付けられたままだが、まるで何かを食べているかのようにもぐもぐと口を動かしている。
よく見なくても何が起こっているのかわかった。
巨大な口の中に頭を突っ込む形でだらりと人の身体がぶらさがっていたからだ。
それが咀嚼音に合わせてゆらゆらと揺れている。

突然、ぷっと音を立てて巨大な顔は獲物を吹き出した。
頭部を失った『食べ残し』は勢いよく前方へ飛ばされていき、唯一の出口である外へ繋がる扉に向かって殺到していた人の群れへとぶつかる。
ただでさえ騒然としているエントランスホールの中にまた新たな悲鳴が響き渡った。

「駄目だ、ここからは出られない!鍵が掛かってる!」

ドアを開けようと奮闘していた男が絶望した表情で叫んだ。

自分達は閉じ込められてしまったのだ。
あの映画と同じように。

きっと、はじめからこのために自分達は呼び寄せられたのだろう。
人喰いピエロの餌食となるために。


A.どうしよう……

B.別の出口を探す

C.どこかに隠れる


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