ドレスの試着はやはり人気があるらしく、予約が殺到していた。
受付が遅くなった人は夕方まで待つことになるというから、三時間後で済んだのはまだ早いほうだろう。

「先にチャペルを見に行くか」

「はい」

赤井と腕を組んでなまえは建物の外に出た。

外はまるでお城か宮殿の庭園のような景色が広がっていた。

「奥に見える建物はゲストハウスウェディング用のものだそうだ。豪華だな」

ゲストハウスのコの字型の披露宴会場の内側部分にはパティオと呼ばれる中庭があり、招待客が自由に行き来出来るようになっている。
そこにデザートビュッフェのテーブルを用意すれば、ガーデンウェディングの気分も味わえるというわけだ。

すぐに屋外チャペルは見つかった。
扉は解放してあり、誰でも中に入れるようになっている。

「秀一さん、チャペルです!」

「ここは第二チャペルだ。室内にももうひとつあるらしい」

「へえ…」

披露宴会場から一番近いこのチャペルを選ぶか、ガーデンや雰囲気も楽しめるもうひとつのチャペルを選ぶか、これは迷うところだ。

「何か…厳かな気持ちになってきますね」

チャペルの中はなまえのイメージにある“教会”とほぼ同じだった。
ステングラスがあって、木製の祭壇やシートがある。

「ここでわざわざ誓わなくとも、俺は既に君に永遠の愛を誓っているよ」

「私もです」

先に中にいたカップルが出て行くと、チャペルの中には赤井と二人だけになった。
その瞬間を狙って、唇を奪われる。

誓いのキスなら喜んで何度だってするのに、と、ちょっと頬を染めて、これから夫となる人の精悍な顔立ちを見上げて幸せに浸った。


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