ブライダルフェアにやって来て意外だったのは、男女で来ているカップルよりも女性二人組みのほうが多かったことだ。
友達同士と母娘が半々くらいといったところだろうか。

数少ない男性はというと、テンションの高い女性達に囲まれていささか気後れしているように見えた。
そんな中でも悠然とした態度のままの赤屍はさすがだ。
そして、会場内のその数少ない男性の中で、一番注目を集めていることは言うまでもない。

「先に館内を少し見て回りましょうか」

「そうですね」

ドレスの試着はやはり人気があるらしく、予約が殺到していた。
受付が遅くなった人は夕方まで待つことになるというから、三時間後で済んだのはまだ早いほうだろう。

混んでいるからと、赤屍の腕に縋らせて貰って、とりあえず通路に沿って歩いていく。
すると、すぐに室内チャペルが見つかった。
扉は解放してあり、誰でも中に入れるようになっている。

「赤屍さん、チャペルです!」

「ここは第一チャペルですね。屋外にももうひとつあるそうですよ」

「へえ…」

披露宴会場から一番近いこのチャペルを選ぶか、ガーデンや雰囲気も楽しめるもうひとつのチャペルを選ぶか、これは迷うところだ。

「何か…厳かな気持ちになってきますね」

チャペルの中はなまえのイメージにある“教会”とほぼ同じだった。
ステングラスがあって、木製の祭壇やシートがある。

「ここでわざわざ誓わずとも、私は既に貴女に永遠の愛を誓っていますけどね」

「私もです」

先に中にいたカップルが出て行くと、チャペルの中には赤屍と二人だけになった。
その瞬間を狙って、唇を奪われる。

誓いのキスなら喜んで何度だってするのに、と、ちょっと頬を染めて、これから夫となる人の端正な顔立ちを見上げて幸せに浸った。



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