結婚式のゲストに配られるものと言えば引出物である。
しかし、重くてかさばる引出物の袋を抱えての移動は大変だ。
特に雨の日や、年配や遠方からのゲストにとっては大きな負担となる。
そこでこの式場では、後日直接ゲストの自宅へ配送されるサービスが行われているのだそうだ。

「なるほど、これは便利ですね」

「引出物って結構かさばりますもんね」

それに、観月側の親族は山形県からわざわざ来てくれることになっているからこのサービスは非常に助かる。

「はじめさん、手作りギフトは何にします?色々作れるみたいですよ」

「んーっ、ウェルカムボードからネームカードまで全て自分でデザインを決められるのはいいですね。僕好みのものもあります」

「はじめさんにお任せします。はじめさんのほうがセンスあるし、やっぱり統一したほうがいいですから」

「そうですか?ではお言葉に甘えて」

目の前に並べられたウェルカムベアなどの手作りギフトの数々を見て、観月は笑った。
かつて自分のデータを元に試合を組み立てていた時のように。

「んふっ、任せて下さい。これ以上ないほど素晴らしいトータルコーディネートでゲストを満足させてみせますよ」

自信たっぷりに言う観月を見て、なまえはやっぱりはじめさんは頼りになるなぁと惚れ直していた。
頼りになる旦那様だ。

「はじめさん、はじめさん、そこの講習会で紅茶のクッキーやシフォンケーキが作れるみたいです」

「ではそれに参加しましょう。紅茶に関してはちょっとうるさいですよ」

知ってます、と微笑んでなまえは観月とともに講習会の会場へ入って行った。


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