ここでは、専任の講師を設け、決められた講習を受けることで、ウェルカムボードやゲストカードなどのアイテムや、ブーケまで手作り出来るらしい。

白いふわふわの羽がついたゲストカードや、オーガンジーのミニ巾着にヒマワリの種を入れたギフトなど、様々な物が展示されていたが、なまえと幸村が一番心惹かれたのはやはり手作りブーケだった。
お試しで一時間弱ぐらいで作れるということで、二人揃って早速講習に参加した。

「やっぱり、キャスケードが一番いいよね!」

「うん。ドレスに良く映えそうだ」

ラウンドが一般的とされるが、使うの花が白薔薇とカサブランカということで、二人ともキャスケードブーケを選んだ。
ブーケスタンドや専用ケースもついて来る割にはお値段も手頃で、本気で本番も手作りにしようかなぁなどと考えてしまう。

「手作りにするなら記念に手元に残しておきたくなるから、ブーケトスは出来ないね」

「じゃあ、俺がなまえに作ってあげるよ。それを本番で使って新居に飾る用にして、なまえはブーケトス用のを作るっていうのはどうかな?」

「精市が作ってくれるならそれでもいいなぁ。うわあ…本気で悩んじゃうよ。どうしよう」

「フフ…まだ見学段階なのに、困ったね」

全然困っている風ではなく、むしろ楽しそうに笑いながら幸村が言う。

「まだこれからだよ。ゆっくり考えて、お互いに意見を出しあって、納得の行く最高の結婚式にしよう。大丈夫、俺がついてる」

「精市…うん!」

なまえの手に重ねた幸村の指に指を絡めて頷く。

とりあえず、お試しで作ったブーケはお互いに交換する事にした。
いつか近い内に、本物のブーケが二人の部屋に飾られることになるだろう。



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