消灯時間も間近に迫った夜、勉強をしていたらどうしてもお腹がすいて仕方がなかったので、ラーメンを作って食べることにした。 袋麺を茹でる傍ら、ざく切りにしたキャベツとニンジンとピーマンをもやしと一緒に塩胡椒をしてフライパンで軽く炒める。 もうすぐ出来上がりというところで、ドアがノックされた。 「なまえ、ちょっといいかい?」 傑くんだ。 「遅くにすまない。明日の任務のことで」 皆まで言わせず傑くんを室内に引っ張り込んで、またドアを閉める。 「傑くんも共犯ね」 「ん?」 ちょっと驚いている風な傑くんをテーブルの前に座らせて、ラーメンを丼に入れ野菜を盛り付けたものを彼の前に置いた。 「なるほど、そういうことなら喜んで」 私の意図を察してくれた傑くんが笑顔になる。 自分の分を作っている間に伸びてはいけないので先に食べていて貰うことにした。 「ありがとう。凄く美味しいよ」 「ただの袋麺だよ?でも嬉しい」 傑くんが麺を啜る音を背に、先ほどと同じ手順で麺を茹でながら野菜を炒めていると、再びノックの音が聞こえてきた。 「傑来てんだろ。抜け駆けはなしだ」 悟くんだ。 「悟くんも共犯ね」 そう言って悟くんを室内に引き入れ、テーブルの前に座らせる。 「えっ、なに、傑、お前何食ってんの?」 「はい、悟くんの分」 自分用に作ったラーメンを悟くんの前に置くと、悟くんは星を散りばめたような青い六眼をぱちくりと瞬かせた。 「ラーメン?なまえが作ったの?」 「そうだよ。お夜食」 お行儀良くいただきますをしてから箸を手にした悟くんが野菜と一緒にラーメンを啜る。途端にその目が輝いた。 「うっま!えっ、なにこれ、めちゃくちゃうまいんだけど!なまえ天才じゃね?」 「ふふふ、夜食のラーメンって美味しく感じるよね」 「いや、マジで美味いって!」 「悟はラーメン食べたことないのかい?」 傑くんが微笑ましそうに笑っている。 「馬鹿にすんなよ。ラーメンぐらい食べたことあるわ。でも、家で作れるのは知らなかった」 「こういう袋に入った麺を売ってるんだよ」 「へえ……」 あっという間に食べ終えてしまって物足りなそうにしている悟くんに私の分を半分わけてあげると、瞳をキラキラさせた悟くんに唇にちゅっとキスをされた。 「なまえ、早くお嫁にきて」 「悟、表に出ろ」 真顔でぶちキレている傑くんを宥める間に私のラーメンは伸びてしまっていたが、それでもやっぱり美味しかった。 |