「ただいま帰りました」 「お帰りなさい。今日も一日お疲れさまでした」 ラフな私服を着た赤屍さんが出迎えてくれる。その胸にすり寄るようにして甘えると、優しく背中を撫でられた。 「夕食の支度、出来ていますよ」 「ありがとうございます」 今日は何かな。ハンバーグ?それとも健康的に和食?何が出てきても美味しく食べる準備は出来ていた。 赤屍さんについて部屋に入る。 「えっ」 綺麗に整頓された室内には、HAPPY BIRTHDAYの印字がされた風船があちこちに浮かんでいた。 それだけではない。 テーブルにはまるでパーティーのように豪華な料理の数々が並んでいた。 「お誕生日おめでとうございます」 「えっ、えっ、どうして」 「私が貴女の誕生日を知らないはずがないでしょう。今日は腕によりをかけてご馳走を作ったので、二人でお祝いしましょうね」 「うう〜、赤屍さぁん」 「よしよし」 赤屍さんにエスコートされてテーブルにつき、目の前にバースデーケーキが置かれる。 蝋燭に火をつけた赤屍さんが言った。 「さあ、願い事をしながら吹き消して下さい」 言われた通りに蝋燭の火を吹き消す。 「おめでとうございます。生まれてきて下さってありがとうございました。貴女と出逢うことが出来て、こうして誕生日をお祝いすることが出来て、とても幸せです」 「私のほうこそありがとうございます。赤屍さんに出逢えて良かった……」 声に出せたのはそこまでだった。 あとは涙声になってしまって、赤屍さんにひたすらよしよしと宥められることになった。 「さあ、どうぞ召し上がれ」 ケーキもご馳走も美味しかった。 誕生日を祝ってくれる人がいる──しかも、それが愛しい恋人となれば、幸せもひとしおだ。 来年も、再来年も、ずっとずっと赤屍さんといられますように。 そう願わずにはいられない幸せな誕生日だった。 |